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嗚咽のような呻き声を洩らして女生徒の霊の体が拳を叩き込んだ方向へ傾いた。
希はその隙に乗じてそのまま脇を通り抜けてある程度の距離を付けた所で体を反転させて再びエア・シャフトを構える。
サイトから女生徒の霊に照準を合わせてトリガーを引いた。
ガァン!ガァン!
銃口から放たれた純鉄が狙い通り、女生徒の霊の両足を射ち抜いた。
細い脚に空いた穴から流れだす血。
しかし女生徒の霊は倒れるどころか、口元を笑いに歪め、体勢を立て直したのだ。
「そんな……」
『ケラケラケラケラケラケラ』
壊れた笑みを浮かべながらゆっくりと希の方に振り向いた。
既に足元には大きな血溜まりが出来ている。
『じャアコンドは私ノ番ダ』
その台詞と共にさっきとは打って変わった殺気が伝わってくる。
「やっぱりこうなってしまうのかよ!」
女生徒の霊は血を辺りに撒き散らしながら一気に駆け寄って距離を詰めてくる。
希もバックステップで後方へ下がりながらエア・シャフトで連射。
腹部、胸部、首元と弾は当たるが相手は緩む事無くズンズンと追ってくる。
何なんだこの霊はッ!?
『イヒイイイヒヒヒッヒッ』
ガキンッ。
スライドが後方へ下がってトリガーを引く音だけ響く。
弾切れ。
「くッそッ!」
普通の悪霊ならば余程強い霊ではない限り純鉄で浄化が出来る。
しかしあの霊は、まるで効いていない。
学ランを捲ってホルスターからマガジンを取り出して、空になったものと急いで交換。
リロードをしてスライドを引く。
そして再度エア・シャフトを構えたという所である誤算に直面した。
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