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ガッ!
背中に無機質な痛みと感覚。
「しまッ…!」
廊下の果て、踊り場の壁にぶつかったのだ。
かなりの衝撃に思わずエア・シャフトを手から落としてしまう。
女生徒の霊が笑い混じりの奇声を上げながら、遂にその間合いは圏内に。
『キイッヒッヒィヒッヒァッ!』
カッターナイフの刃を突き出し突進。
「くぅッ!」
壁を背にカッターナイフの軌道から何とか逸れる。
避けられ空を切るカッターナイフが元いた場所に突き刺さる。
この隙に一撃を!と思った矢先、追撃が希を襲った。
女生徒の霊の凪ぎ払いが横頭部に直撃。
想像以上の衝撃が脳を揺らし、全身が痺れ視界が歪む。
ぐるぐる回る視界の中で横一線に右フックが入り、希は階下へ吹き飛んだ。
「がはッ………ッ!」
踊り場に肩から落下。
ヤバイ…これ死ぬッて…
衝突。
一回、二回とバウンドして踊り場に転がり、そのまま一階へ落ちていき、一階の『踊り場』でようやく制止した。
身体中が痛い、口内の中に鉄の味が広がっていく。
痛いっ……だけど骨は折れてないし動ける!
最後に何とか受け身を取れたのが幸いしたかッ。
激痛に見舞われる全身に鞭を打って立ち上がる。
あの女生徒の霊……駄目だ勝てる気がしない。
一度戦略的撤退をするか?
漸く正常に戻った視界、それは今考えていた事を完全に拒絶していたのだ。
真っ先に映った映像、それは階下に伸びる階段だった。
そんな馬鹿な………
霊との接触は二階。
そこから落ちてきたのに関わらず階下に伸びる階段があるのだ。
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