第1話:漆黒ノ少女

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……一体どうなってるんだよッ。 キィィィィィィン―――――― キィィィィィィン―――――― 金属が金属を擦れる不快な音が響く。 希は階下から階上に伸びる階段に視線を移した。 女生徒の霊がカッターナイフの刃を手摺りに擦りながらゆっくりと降りてきていた。 その形相はまさしく般若の如し。 両目はそれぞれ斜め四十五度傾斜し、こめかみの方まで長く切れ込んでいる。 キィィィィィィン―――――― 一階には降りれない正面は塞がれている。 どうしても逃がさないつもりか。 『キイッヒッヒィ…探シ、探シ物見ツケタ』 額から汗が流れ落ちる。 落ち着けっ、取り敢えず冷静になるんだ高山 希! 状況を整理するんだ… エア・シャフトは上の階に落として来てしまった。 あの霊を浄化するには丸腰がじゃ無理だ。 つまりエア・シャフトを取りに行くのが先決。 だがどうする? 正面の階段を使って、あいつの横を抜けて行く? ……………無理だ。 なら元から選択はただ一つ。 希は目一杯息を吸い込み――― 「ついて来てみやがれッ!」 ―――――反対側の階段を使うしか無いッ。 キィィィィィ………――― カッターナイフの刃が止まったと同時に走りだす。
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