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ズダンッと背後から着地音が響く。
止まるなッ、全力で走るんだ!
『キイ<ッヒ/,ッヒィ@(ィ』
希の数メートル後ろを女生徒の霊が追尾してきている。
こうして話は長い回想を経て漸く冒頭のシーンに戻るという訳だ。
―――――――――――――――
【AM 1:07(+1min)】
「うぉぉぉッ!」
反対側の階段に着いた俺は二段飛ばしで駆け上がる。
そして三階の廊下を懸命に駆けていく。
「はぁッ!はぁッ!……もうちょいッ」
全速力で駆けながら後ろを振り向いてみる。
……………えッ!?
しかしそこには希を追い掛ける女生徒の霊の姿は無い。
…………何処に?
ジジッ。
ノイズ混じりの重低音ボイスが左耳から突き抜けた。
次の瞬間、左側に何かが通り抜け、身体の左半身を衝撃貫いた。
「…がッ……!?」
ミシミシとあばら骨が軋み。
バランスが崩れ、そのままリノリウムの床に叩きつけられた。
一回、二回。
と勢いよく転がって教室の扉ごとふっ飛ばして教室内に突っ込んだ。
机や椅子を巻き込んで転がり、ベランダの扉の前で漸く制止した。
ガララララッっと希を覆い隠すように机や椅子の山に埋もれた。
「…痛ッ………た…」
乱雑に積みあがって出来た机と椅子の山からもそもそと這い出てゆっくりと立ち上がる。
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