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バギィッとあばら骨が何本も折れる、それでも女生徒の霊の蹴りの勢いは止まらない。
希をサッカーボールのようにいとも簡単にベランダまで吹っ飛ばした。
これには思わず口の中に溜まっていた血を全て吐き出した。
「ぐふぅッ………げほっ…」
手刷りが変形するくらいの衝撃。
手刷りの間から下を見下ろすと中庭の桜の木の前に、べこんと凹んだベランダの扉が転がっている。
手刷りに凭れかかる格好で座り込む希。
『ギィィ^*ッィィヒィッヒ#<ィッィ!』
カッターナイフを構えた女生徒の霊が徐々に近づいてくる。
「……立たな…きゃ…」
しかし身体は全く言う事聞かず指一本ですら動かない。
というより感覚が既に無くなっている。
まるで首から下が自分のモノじゃないみたいだ。
『ギ………キヒィ…ミーツケタ…』
女生徒の霊が教室から出て来て遂に希の前で立ち止まった。
希は自分を見下ろす女生徒の霊を見上げた。
醜悪で、怨念にまみれた可哀相な霊。
女生徒の霊が歪んだ笑みを浮かべてから、ゆっくりとカッターナイフを振りかざす。
…………
そして振りかざされたカッターナイフが勢いよく振り下ろされた。
その瞬間がとてもスローモーションに感じられる。
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