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……ひゃあ?
頭上で甲高い悲鳴ような声がした。
ふわりとかすかに漂ういい香りが鼻腔を擽る。
それに弾力のある柔かな感触が掌に吸い付くように――――。
「…………あれ?」
重い瞼が上がるとまず視界に入ったのは白い天井。
その端に幼なじみの和泉未來が熟したトマトよろしく顔を朱色に染めているのが映る。
体はわなわなと震え、への字に結んだ唇は今にも何か言いたげだ。
……………ってちょっと待て。
未來が俺の部屋にいるのは想像がつく。じゃあなんだこの不思議な感触は?
……………あ゛。
完全に鮮明になってぼやけが消えた視界に―――――
――――――未來の左胸を制服の上から鷲掴みにしている俺の手があった。
きゃあ?成る程な。
「っっ!いつまで触ってるのよぉ!」
甲高い悲鳴混じりの声。
同時に、俺は下から繰り出された未來の拳を食らっていた。
「ぶっ!」
未來のアッパーが顎をジャストミート!
呻き声を上げながら吹っ飛ぶ…まではいかないが強かな痛みに仰け反って。
そのままばふんっ、と枕へ倒れ込んだ。
「いった~……」
普段から怒らす度に受けるアッパーだけど今朝は格別に痛いぞ。
……痛い…………………………………………………待て。
ガバッとベッドから起き上がってパジャマを捲る。
その突然のおかしな行動に未來は驚いたように首を傾げる。
そうだ、何で俺自宅にいるんだ?
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