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パジャマを脱いで、赤のTシャツの上から糊が効いたカッターシャツを着る。
学生服は昨日めでたく衣替えをしたという事で秋までの長い休暇。
学生ズボンに脚をとおしてベルトを締めて着替えは終了。
階段を降りていってすぐ横の洗面所で冷水で洗顔して鏡に映る自分を見る。
目脂……無しっ。
鼻毛も……うん。
血行も良、なんだ健康じゃないか。
鏡を見ながら腹部をさすってみるが痛みは皆無。
まるで昨夜の出来事が無かったかのようだ。
いや、もしかしたら夢だったんじゃないのか?
なんてな――――――
「…で、また除霊したんだって?」
テーブル挟んだ向かい側で焼鮭をつつきながら未來は言った。
「え?やっぱり?」
夢オチってのは無いらしい。
未來は怪訝そうな顔つきで、はむっと鮭を口に入れた。
「悠君から頼まれたんでしょ?」
「え~と、まぁ」
「私、聞いてないよっ」
その短い一言に怒気が秘められていたのは確実だったので、俺は素直に、スマンと返事した。
何故、未來が怒っているのかと言うと。
我が家の保護者のようなものだからだ。
別に未來がと共に同棲をしている訳ではない。
こうして朝起こしてくれるのも、朝食を作ってくれるのも全て家庭事情に関係している。
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