第2話:真条彩音

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2, 天成学園は市内の中心に近い場所にある。 天成学園は生徒数が約1200人、進学校という事もあり毎年募集定員をオーバーするほど志願者がいるらしい。 因みに俺は家から一番近い高校という点で選んだという事は余談だ。 名前からしていかにも【私立】を思わせるが、れっきとした【県立】。 そういう事柄を除けば何処にでもある普通の高校だ。 敷地内には一般教室が並ぶ教室棟(西棟)、特別教室が並ぶ特別棟(東棟)、補修科棟、そして体育館。 体育館の後ろにはアーチェーリー場、弓道場にテニスコートが広がっている。 で、先にも説明した通り我が家から天成学園は近い。 隣の館山高に通おうものなら最寄りの駅から電車を利用せねばならない所、天成学園までは徒歩15分。 自転車なら更に短縮出来る。 そんなわけで朝食後。 「希早く~!」 玄関から未來が急ぎの催促が掛かる。 適当に返事をして鞄に必要であろう教材を突っ込んで、テーブルに置いてあったホルスターを腰に巻く。 昨日の事がふと頭に過り、純鉄を装填したマガジンも入れておいた。 いよいよ未來の叱責が飛ぶ前に急いで階段を駆け降りて玄関へ。 ご丁寧に腕組みして待っていた未來に一言謝り家を出た。 「うわぁ、日射し強っ」 梅雨を目前に控えて軽くデモンストレーションのつもりなのか太陽よ。 「いいから急ぐわよっ!このままじゃ遅刻しちゃうっ」 「はいはいっ」
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