第2話:真条彩音

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自宅から学園までは約15分。 昨夜件を深く問いただされ、いつもより家を出るのが遅くなってしまった為に未來の歩きも少し速い。 俺は未來の少し後ろを同じ速さで追い掛ける。 時刻は8時20分を少し過ぎたくらい。 確かにいつものペースで行けば、40分開始のショートホームルームの間に合わないだろう。 「希急いでっ!」 「分かってるって」 住宅街を抜け、市街をまたぎ、車や人や自転車とすれ違う10分程の道程。 残念ながらガムを噛んでいる暇も無さそうだ。 交差点も引っ掛かる事無く早々と渡る。 そして勝呂駅を過ぎた辺りから少し遠くに天成学園の姿が見える。 「あと8分っ、何とか間に合いそうねっ」 左手につけているピンクの腕時計をチラリと見て喜びを満面に浮かべて言った。 学園前の道路ということもあり、歩道が広くなったので俺は未來の隣に並んだ。 「朝っぱからこんなに動く羽目になるとは……ふぅ」 額に浮かんだ汗を腕で拭う。 それにつられるように未來もぱたぱたとブラウスの襟元を動かす。 「私もちょっと汗かいちゃったかも。教室着いたらシーブリしよっと」 「俺にも貸してくれよ」 「しょうがないわねぇ」 承諾も得れたので1時間目から汗でベタベタにならずに済みそうだ。 「それにしても運動部は大変だよな」 俺は未來が肩から かけている赤いエナメルバッグに視線を移す。 帰宅部の俺とは違い、青春の汗を惜しみなく流す未來はテニス部に所属している。 ソフトの方のな。
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