第2話:真条彩音

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中学から始めて高校でも続投。 たまに呼ばれて練習試合とかを観に行ったりするが、これが結構上手かった。 初心者の俺が言ってるだけなのかもしれないが、何というか…… ……まぁ、兎に角上手いのだ。 観に行って未來が負けている姿をあまり見なかった手前そうだろう。 着替えとか色々、教科書以外にも沢山詰まってるからこの大きさ。 それを見るといかに自分が帰宅部で良かったかと思ってしまう。 「そうなんだよねっ。総体も近いし、最近暑くなって汗かいちゃうから着替えとか色々必要になってさ」 「へぇ、そういや総体の時期か。未來は試合に出んの?」 「うん。ダブルスと団体でね」 よいしょっと、ずり落ちていくエナメルバッグを担ぎ直す。 「一年なのに早速かぁ。まぁ未來上手いしなっ。試合も余裕だったりして」 「それは分かんないよっ。でも全力で臨みたいかなっ。だからぁ………」 未來の言わんとしている事は分かる。 俺は鼻を鳴らして笑った。 「分かってるって、応援行くって」 未來は笑みを深くした。 「差し入れも忘れないでよ」 「はいはい」 そう返事をしてから暫く歩き、昇降口も見えてきた時後ろから声を掛けられた。 「やっ、二人とも!」 この陽気な口調…… 揃って振り返ると案の定そこには自転車を押す、夏服に身を包んだ悠がいた。 「あ、おはよー悠君」 未來も陽気に返事をする。が、俺は違う。 俺は無言で悠を睨む。
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