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「……そんな有名人がねぇ…」
「だよねぇ~」
二人揃って腕を組んで首をかしげる。
ふぅむ。
何かこう言われてみると本当に本人だったのか不安になってくるな。
俺は椅子に凭れて身体を伸ばす。
するといきなり司会が何かに覆われた。
「さて、私は誰でしょう?」
この柔かな感触は手か。
少し声を低くしてカモフラージュしたつもりだが、こんな事をしてくる奴は3人しかいない。
うぅん、とわざとらしく唸って考える素振りをする。
未來に悠、あと一人は………
「……高梨さんだ!」
手がゆっくりと離れていき、俺は後ろに立つ人物を見上げた。
「ぶっぶー!残念!未來さんでしたっ!」
「はっ!?何で?」
「ふっふっふ。まだまだ希も甘いね、前を見てみ」
そう言われてすかさず身体を元の姿勢に戻すと、「よっ」と陽気に笑う悠の隣に困ったような顔して高梨さんが立っていた。
「え~…と、お早う高山君っ」
「うん、お早う……ってあれ?」
脳内でババーン!と効果音が鳴り響く。
「はっはっは。希もまだまだだね。
女の子の名前を間違えるなんて失礼じゃないかっ」
「お前等……」
今にも脳天に拳骨の一発で振り下ろしてやりたい気分
だが……
「?」
高梨さんもとい我がクラスの総務委員長兼風紀委員がいる手前、拳をクールダウンだ。
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