第2話:真条彩音

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荒れた教室、壊れた机や椅子。 吹っ飛んで階下へ落ちた扉。 あの後、意識が無くなったからどうなったのかは分からないけど… 確かに折れていた腹部の骨も元通りに治っていたんだ。 だったら。その事じゃない事を祈っ―――― 「何か西棟の第2特別教室が滅茶苦茶に荒らされてたらしいよ。 先生も詳しくは知らないんだけど、二時限目位に事務員の古谷さんが発見したみたい」 他人事のように淡々と語りながらコーヒーを啜る氷河先生。 まぁ、確かに他人事なんだけど… 流石にやった本人が目の前にいるとは想像し難いだろう。 俺はあくまで自然に、そうなんですかぁと続けた。 顔、引きつって無いよな? 「ま、それはいいとして。作文の方は良いから帰っていいよ」 氷河先生は空になったコーヒーカップをデスクの隅にコトンと音を立てて置いた。 「あ~、心臓に悪かった~」 職員室を後にした俺は、教室に戻る前にジュースでも買おうかと購買部の横の自販機コーナーに来ていた。 いつもは混んでいる自販機コーナーも5月も末に入って、購買部で紙パックジュースが解禁された為。 生徒の大方は購買部に流れている。 そんなわけで閑静な自販機コーナー。 「……どれにするかな」
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