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俺はコーヒーの缶を強く握り締めた。
それは俺の動揺の裏に潜めていた感情の表れなのかもしれない。
聞きたい事は山ほどあるんだ。
昨晩、あの霊を浄化したあの漆黒の大鎌は見たところ見当たらない。
未來や悠、高梨さんの話によれば真条彩音は優等生。なら、国が定めている法律を破る訳がない。
じゃあ?普段は隠しているって事か?
ダメだ分からん。
俺が考え事に没頭して苦い顔をしていたのか、真条は少し不安げな表情を浮かべた。
「どうかしましたか?」
「え?いやっ……」
ヤバイ、言葉が出てこないぞ!
何でこう俺はガチガチに緊張してんだよっ?
「そうですか?何か苦い顔をしてたので」
「大丈夫っ……ちょっと緊張してるだけだからっ」
一度深呼吸だ……落ち着け俺。
兎に角大丈夫、何でもないってアピールをすると彼女はまた笑顔を浮かべた。
冷静に、冷静に………。
「ところで俺に何か用かな?」
「あ、はい。話したい事がありましたが…………」
…………昨夜の事か?
真条は壁に掛かっているアナログ時計を横目で見てから続けた。
「…時間があまり無いので再度にしようかなと」
「時間?」
俺がそう聞き返すと同時にチャイムが鳴り響いた。
……………は!?
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