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「?」
音を立てないようにそっと入口側のソファーを覗いてみる。
するとそこにはジャージ姿の綺麗な大人の女性が猫のように背を丸めて寝ていた。
この人には見覚えがある。
天成学園の若き理事長、確か名前は……神崎乃愛だったかな。
入学式の挨拶で一度見たきりだから自信は無いが確かそんな名前だった筈だ。
それは取り敢えずいいとして、何で理事長先生がこんな所で、それもジャージで就寝なさってるんだ?
「すー……すー…う~ん…鮪ぉ」
一体どんな夢を見ているのやら。
俺はしばしどうしようか迷ったが、結果起こす事にした。
肩を軽く揺すって声をかける。
「あの、起きて下さいって」
「……う……うぅ~ん…」
理事長先生は暫く唸った後、寝呆け眼でむくりとゆっくり起き上がった。
上半身をゆらゆらと揺らして孤空を眺めている。
そして漸く起こした俺の存在を認識したのか、はっとお決まりの反応を見せた。
「………誰ぇ?」
「一年の高山です」
「たかやま~?どれがぁ?」
酔ってるんですけど。
よく見たらテーブルとソファーの間に日本酒の一升瓶が転がっている。
それを拾い上げてラベルを見てみると、
【桜山】
名の通り桜がちりばめられたようなデザインをしている。
教職者がこんなんいいのか?
「はぁ」
俺は深く溜め息をついた。
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