第3話:対霊魔部

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「ここ、理事長室じゃないですよ?」 「………………ぷっ。そんにゃこと知ってますよぅ?大丈夫ぅ?」 酒に酔った人に大丈夫と心配されるとは。 「それはこっちの台詞ですよ。ていうか、校内で一升瓶飲み干すって…教職者としてどうですか」 瓶を拾い上げながらそう言うと、理事長先生はぷっと吹いて笑った。 「にゃっはっはぁ、分かんにゃいかな桜山くぅん~?」 「俺は酒じゃないですよ!」 「乃愛ちゃんはぁ、教職者の前に一人の女なんだよぅ?」 がん無視かい。 「お酒のひとくち、ふたくちくりゃいいーじゃない?」 一瓶飲み干す=一口、二口 これのどこが? そもそも一升瓶を飲み干すとか並大抵の女性がそう簡単に出来るものなのか? 「ねぇ~聞いてるのぉ桜山くぅん?」 「聞いてますよ、それに俺は高山です」 「………高山ぁ?桜山の間違いじゃなくてぇ?」 「あ~、もう桜山でいいですよ」 俺は半ば諦めて理事長先生とは反対側のソファーに腰を下ろした。 はぁ、真条は来ないし。酔っ払いはいるし…… 溜息をつこうとしたその途中で、酔っ払いもとい理事長先生が大声を上げた。 「あーっ!そーそー、そーいえばぁ!」 理事長先生は嬉しそうに両手を胸の前で組み合わせた。 「彩音ちゃんが誰か来るって言ってたよ~な~?」 真条を知っているのか? 「え~と誰だったっけぇ?」 うーん、と首をかしげて唸る理事長先生。 多分誰かって俺の事だろうな。 「………あ!そうそう!桜…『高山です!』…そう!高山君だ!」
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