第1話:漆黒ノ少女

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だったら最初から東校舎から入れば良かったのでは? と思う方がいるだろうから答えよう。 …って警備の事は今さっき湊からメールが来て分かったからだ。 つまり下手したら俺、捕まってたし。不法侵入で。 「くっそぅ、思い出したら腹が立ってきたぞ………ったく…」 軽く周りを見渡してから早足で廊下を歩く。 ライトで足下を照らしながら歩いてはいるが、窓から射し込む月の光のお蔭で案外明るい。 深夜の校舎を歩くなんて一生に一度あるかないかの体験。 ちょっとぐらいゆっくりしたいものだが、そうはいかない。 少見あと2分ほどで西校舎は警備システムがメンテナンスから復旧するのだ。 希は閑静な廊下を駆け足で進んでいき、渡り廊下へ。 当たり前だが人気無い渡り廊下を渡って東校舎に到着。 これで取り敢えずは警察にお縄の確率は格段に下がったぜ。 美術部の倉庫は2階。 最寄りの階段を使って行く。 その踊り場辺りで、全身に電流が流れて回ったような感覚に襲われる。 ……ちょっとだけど怨念も感じるな…。 希はそれを感じ取ると学ランを捲った。 腰には茶色が混じった黒色の革製のホルスターが巻かれ、銀色の銃身をした銃が入っている。 俺の霊装【エア・シャフト】。 「頼むからこいつを使う羽目にはならないでくれよな」
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