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部活が終わった拓兎と翔は、
『じゃ~聞いてくっから。』
『あぁ~。頼んだ。』
そう会話をして、昨日とは逆で拓兎が屋上へ翔が下駄箱へと別れて行った。
拓兎は屋上に着き、歩音を探した。
『姫宮さん。』
拓兎は歩音を見つけ、声をかけた。
歩音は緊張と恥ずかしさで俯いたまま、軽く頭を下げた。
『え~っと。………回りくどい事するのイヤだから単刀直入に聞くけど好きなヤツって誰?』
『………えっ!?』
歩音は急にそんな事を聞かれ、驚き、顔を上げて拓兎を見た。
『アイツ……翔のヤツ、本気なんだ、君の事。好きなヤツいるって聞いてショック受けてる。もしよかったら誰か聞かせて欲しいんだけど。』
“そっ…そんなの…言えるわけない。言ったら自(みずか)ら告白してるようなもんだし。それよりそんな言葉………拓兎君から聞きたくなかった。………こんなの……何も言ってないのにフラれたのと一緒じゃん。”
歩音には拓兎の言葉が"俺は君の事、興味ない。翔と君との仲を取り持とうと思う。"と言っているように聞こえたのだった。
歩音は俯き、ゆっくりと崩れていき、座り込むと唇を噛み締め、涙を堪えた。
『……姫宮さん?』
崩れながら座り込んだ歩音を見て拓兎は驚き、名前を読んだ。
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