【Ⅰ】

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『大丈夫か?』 拓兎にそう言われた歩音だったが、何も耳に届いていなかった。 “どうせフラれるなら―――” 『(ボソボソボソッ)…………』 『えっ!?何!?』 拓兎は歩音が何か言った事はわかったが、内容までは聞き取れなかったため、聞き返した。 『………私の……私の好きな人は……拓兎君です。……拓兎君の事が…ずっと前から好きです。』 歩音はどうせダメになるならこの機会にと思い、思い切って告白をした。 “えっ!?……うそっ…だろ?……マジかよっ!!” 拓兎は歩音の告白にかなりビックリしていた。 しかも、好きなヤツが拓兎だと言う事実に拓兎は驚きを隠せずにいた。 『………わりぃー、俺は………』 『大丈夫…です。……わかってますから。』 『………わりぃー。』 拓兎は小さくそれだけ言うと屋上を足早に出て行った。 『ふぅう…ヒクッ…ふぐっ…ヒクッ』 “告白なんて…するつもりなかった。……ただ…遠くから見ているだけで…よかった…のに。………ホント…バカだ…私。” 『グスッ…ヒクッ…エグッ…ヒクッ』 歩音はそう思いながら涙を流していた。 しばらくして落ち着いたため、屋上を出て帰って行った。 .
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