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屋上から出た拓兎は翔のいる下駄箱へと向かっていた。
“ハァ~。………どうすっかなぁ~。……どう言えばいいんだ?”
拓兎は翔を応援するつもりでいたのだが、歩音の告白によって拓兎は翔のライバルになってしまった。
でも拓兎は歩音の事は全く興味はない。
だから翔にとってはいい話だが、歩音にとってはかなりツライ現実になり、悲しませる事になる。
そうなると、翔までもが傷付く。
翔は拓兎にとって大切なやつで大親友だ、だからそれだけは避けたい。
そんな複雑な気持ちのまま拓兎は歩いていたが、ついに翔の所へ辿(たど)り着いてしまった。
『……拓兎。どうだった?聞けたか?』
『………んっ?…ん~~。』
拓兎は翔に聞かれ、言葉を濁した。
『んだよ。聞けたのか、聞けなかったのか、どっちだよ。』
『いや~、それが~……まぁ~、一応は聞けたんだが………』
拓兎は言葉に詰まっていた。
『なら誰だったんだよ。』
『ん~~。……聞かない方が………。』
『んだよ、それ。お前が聞いてくれるっつったんだろ?言えよ。』
翔はなかなかハッキリと言わない拓兎に少しキレていた。
“しゃ~ねぇ~、言うしかねぇ~か。”
『わぁ~たよ、言うよ。………あのな?…俺だよ。』
『はっ?』
『だ~か~ら~、俺だって。……姫宮の好きなヤツって俺なの、オ・レ!!』
拓兎は自分で自分を指差しながら言った。
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