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“あぁ~、カッコイイなぁ~。”
そう思いながら自転車小屋からグラウンドを見ている女の子の名前は姫宮 歩音(ヒメミヤ アユネ)。
高校1年生で学校ではイジメは受けていないものの友達が1人もない、影の薄い存在で見た目はデブで不細工。
でもこんな子にだって好きな人くらいいるもので………。
その人は学校一のイケメンでお金持ちのお坊ちゃま
………ではなく、そのお坊ちゃまと同じ部活、サッカー部で同級生の斉季拓兎(サイキ タクト)。
歩音は昔から学校一のイケメンとかは好きじゃなかった。
それは別に学校一だからとかではなく、ただ好みのタイプが一般的にモテる人達とは違っていただけだった。
なので、その歩音が好きな拓兎は他の人達からしたら別にイケメンと言う訳ではなく、かと言って不細工と言う訳でもない普通の男子なのだ。
“さっ、帰ろ。”
歩音はそう思うと自転車に跨がり帰って行った。
歩音の部活は合唱部でコンクールなどがない限り運動部より早く終わるため、ほぼいつも部活終わりの帰り際、自転車小屋からでは少し遠いため、チラッとだけしか見れないが、怪しまれないようにグラウンドを覗き、拓兎を見てから家に帰っていた。
そうする毎日が歩音にとって平和な日々だったが、それが崩れるとは今の歩音には全く知る術(スベ)がなかった。
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