【Ⅰ】

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授業が終わり、拓兎は翔の元に向かった。 『翔?』 『………ちょっと行ってくる。』 翔はそう言うと拓兎の返事を聞かずに歩音の教室へと向かった。 『………』 “大丈夫かな~、翔のやつ。” 拓兎は翔の性格を知っているため、ちょっと不安になっていた。 翔は歩音の教室に入り、歩音の前に来た。 『………姫宮さん、話がある。ちょっと付き合ってくんねぇ~?』 『……私は…ありませんから。』 翔は歩音の言葉を聞き、自分のせいで歩音にそう言わせているのだと思い、自分に腹が立ち歩音の腕を掴むと引っ張って教室を後にした。 “イッ…イタイッ。” 翔はそんなに力は入れていなかったが、怪我をしている所を持ち、引っ張られていたので少し痛かったのだった。 しばらくして誰もいない空いている適当な教室に2人は入り、翔は歩音の手を離した。 『……ごめん。痛かったよな?でもこうでもしねぇ~と。』 翔はそう言って歩音の痛々しい姿を見ると黙ってしまった。 『………』 歩音は何も言わず、俯いたままだった。 .
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