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屋上に向かった歩音は扉を開ける前に一度深呼吸をした。
『すぅ~、はぁ~。』
‘ガチャッ’
歩音は扉を開けて辺りを見渡し、誰もいない事を確認すると足を踏み入れた。
そして本当に誰もいないのか歩きながら周りを見渡した。
“はぁ~。やっぱり誰もいない。……騙されたんだなぁ~。こんな事なら来なきゃよかった。………でも……もう少しだけ………”
歩音は来ないとわかっていてもやっぱりつい"まだ部活終わってないだろうし、来るの遅れてるだけかも。"などと思って期待してしまっている自分がいた。
歩音はそう思い、もう少し待つ事にしたのだった。
“もう少し待って来なかったら帰ろっ。”
歩音は扉がある方ではなく、その横側の壁にもたれかかるようにして俯き、立っていた。
すると、何分位経っただろう、屋上の扉が開く音がした。
‘ガチャッ…ギィ~’
“………えっ!?…うそっ!?……来たっ!!”
歩音は拓兎が来たのだとわかり顔を上げ、扉の方に行こうとしたが緊張のせいか足が動かなかった。
すると、足音が歩音の方に近づいて来るのがわかりまた下を向き、俯いてしまった。
『……姫宮さん?―――』
歩音はそう声をかけられ、その声が拓兎ではない事がわかり、ビックリして顔を上げた。
“えっ!?………どうして?……やっぱりからかわれた?”
そこにいたのは学校一モテていると言われている山下翔だったため、歩音はそう思ってしまったのだった。
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