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『―――よかった、来てくれて。』
翔はホッとしたように歩音に向かってそう言った。
『え~っと、………俺の事は知ってるよな?』
歩音はそう聞かれ、軽く頷いた。
『じゃ~、話は早いな。……俺と付き合って欲しいんだけど。』
“………えっ!?何言ってるの?この人。私の事、からかってるの?”
歩音がそう思っていると翔がまた口を開いた。
『からかってる訳じゃねぇ~から。真剣に付き合って欲しい。ずっとチャリ小屋から見てただろ?気になってた。』
“バレてたんだ。……でもこの人の言ってる事は本当なのか嘘なのかわからない。………それに…私が見てたのは拓兎君だもん。………どちらにしろ、断らなきゃ。”
歩音はそう思うと俯きながら口を開いた。
『……あっ…あのっ!?………ごめん…なさぃ。』
歩音は母親の遺伝?で男性恐怖症だったため、小さな声でそう言う事で精一杯だった。
『えっ!?』
翔は驚いた、断られるとは全く思っていなかったからだった。
『……えっ!?…何で!?嘘じゃねぇ~ぞ。マジで真剣なんだけど。』
翔の言葉に歩音は顔を上げて翔の顔を見た。
そしてその目を見た歩音は本当に真剣なんだとわかった。
『理由があるなら教えてくれ。』
“私の事、騙している訳じゃないみたい。それじゃあ私もちゃんと答えなきゃ。”
翔に言われ、歩音はまた下を向いた。
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