part1

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 社会不適合者。別に僕は、かっこいいわけじゃないし、太ってもいない。面白い話をする自身はないが、場を冷めさせるようなつまらない話をすることはない。  誰にでも優しくする自身もあるし、友達ができない理由がわからない。  だけどできない。  僕は、教室について、席に座った。  窓際の席だったらいいのに、と、思う。僕の席は中央。  外を眺めていられるし、友達がいないとも思われない、ような気がする。  手に顎を乗せ、何も感じていない、という風に装う。内心悲壮感でいっぱい。 「おはようございます」言い、担任が教室に入ってきた。  女子が数人、その担任のもとに向かって行く。自分より人気があるんじゃないか、こいつ。  そう思うと、やはり虚しい。 「さあ、今日も元気に行きましょう」  元気なんてでるか、バカバカしい。もっと生徒を見ろ馬鹿担任。  一時間目は体育。  ぼっちには過酷な教科だ。  バレーをやるにも組む人がいないし、バスケをやるにも組む人がいないし、卓球をやるにも組む人がいない。  生徒が一斉に着替えをはじめる。  目を輝かせ、楽しそう。  羨ましい。  体育が楽しかった時代が、僕にもあったな。  なんてことを思いながら体育館。  僕は卓球を選んでいる。  卓球こそ組む人がいなければできないスポーツだが、バレーやバスケをやる気にはならなかった。  そっちのスポーツはいけてる系男子がやるスポーツ。別に卓球が根暗なスポーツだと言っているわけではない。断じて。  まあ、組む人がいない僕は、見ているだけなのだが。  卓球台をはさんで楽しげに球を打ち合う男子。女子。  うまいわけではないが、それでも僕は嫉妬心を燃やさずにはいられなかった。  なんで僕だけ一人なの。  なーんて。 「ここはこうであるからして……」
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