28人が本棚に入れています
本棚に追加
夜の狩場は、昼とは違った顔を見せる。
草食獣の居た場所は、すっかり肉食獣に占領されていた。
見た目が猿の、牙獣種ブランゴだ。
「うざってぇ…」
抜刀すると、山頂から微かに声が聞こえた。
身体を、悪寒が走る。
ブランゴ達は一目散に逃げ出してしまった。
「なるほどな」
ダークは恐怖を振り払い、真剣な眼差しで山を駆け上がった。
崖を登り、洞窟をくぐり抜け、凍った足場を上手くバランスを取ってひた走る。
見えたのは、出口。
そこを抜けると、月明かりに照らされた銀世界が広がっていた。
綺麗な場所だ。
一瞬集中を切ったのが仇となった。
背後の気配に気付き、バッと振り向く。
山の上に、怪我の元凶が身を低くしてこちらを伺っている。
「またお前か…!」
そいつは強靭な脚で飛び上がり、前脚を使ってダークを捕まえようと襲いかかった。
紙一重でそれを躱し、抜刀する。
グルルル…
「さぁ、この前の続きをしようか」
野獣が二匹、美しい銀色の中で睨みあった。
最初のコメントを投稿しよう!