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村は一段と賑やかになった。
ティガレックスを撃退しドスギアノスを討伐したおかげで、一時でも平穏を取り戻したためだ。
ダークの活躍は広まり、信頼はどんどん深まっていった。
すれ違う度に、何人もの人が声をかける。
慣れないダークは戸惑いながらも、小さく手を挙げて応える。
「なんだかなぁ…」
ため息をつき、その辺の草に座り込む。
そこへ、一人の老人が近付いてきた。
「気疲れかの?」
「あー、そんなとこだ」
「昔は、闇より暗い闇と忌み嫌われたお主が、英雄になりつつあるからのぉ」
「知ってたのかよ…」
遠慮など知らないように笑う老人に、ダークは口を曲げてそっぽを向く。
「俺には、英雄なんて柄じゃねぇよ」
「果たしてそうじゃろうか?」
老人が隣に立ち、前を見る。
すると、村人の女性が走ってきた。
「ハンターさん、村長が読んでますよー!」
屈託の無い笑みで、そう伝える女性。
ダークは苦笑いを何とか隠し、丁寧に迎えた。
老人は、くっくと笑う。
「な、英雄さん」
「ふん…」
女性は二人の会話に首を傾げるばかりだった。
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