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睨み合って数秒、お互いがいざ踏み込まんとした時、上空から羽音がして、土埃が舞い上がった。
ピンクの身体が何処か愛らしい、大きな耳のモンスターがこちらを向いた。
クワァァァーーーー
妙な鳴き声で威嚇するそいつに、ダークは殺気を帯びた目を向けた。
「イャンクック!」
太刀を握りしめて、深く踏み込みイャンクックの頭に斬り掛かる。
予想外の先制にイャンクックは一瞬よろめいたが、すぐに切り返してきた。
クワァァァ!
「くっ…力が入り切らなかったか!?」
紙一重でくちばしを躱し、縦斬り、突き、斬り上げ、斬り下がりとリズムを刻んで攻撃を繰り出す。
イャンクックは息を荒げて地団駄を踏んだ。
「怒ったか…」
もう一回。
斬り込んで翼に斬撃を入れた時、ダークの左腕に電気が走ったような痛みが駆け巡り、太刀を落とした。
「ーーーーッ!?」
左手を押さえてうずくまるダーク。
目の前を見ると、イャンクックの口から赤い液体がこぼれていた。
火炎液だ。
「やば…っ!!」
ダークは、衝撃に備えて身体を硬直させた。
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