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「命令、だろ?」
そう凄めば、老人は鼻で笑った。
ひっかかったとばかりに高笑いする様に、ダークは眉を微かに動かした。
「今回は、大老殿は関係ない。本当に私用じゃ」
「…言ってみろ」
「儂の知り合いがいる村に向かってほしい。ちょっと、気になることがあるらしくてな…」
後半は、顔を伏せて話していた。
陰がおちた顔は、言い知れない不安を存分に醸し出している。
ダークは舌打ちをしたのち、ドス黒い笑みを浮かべた。
「ギルドナイトにでも頼め」
「このタイミングで断るか!?」
「と、大老殿の依頼なら言うつもりだった」
老人は、呆れる程の間抜けな顔でダークを見た。
黒い笑みは無く、至極真面目な顔でダークは立ち上がる。
「ギルドマスター直々の頼みだ。明日の明朝には発つから、場所の詳細と竜車の手配はしておいてくれ」
ついでにおごってくれよ
そう言い残し、ダークは集会所を後にした。
その背中を、マスターは呆然と見送る。
喰えない男だ。
マスターは、作業に取り掛かるため、勘定を済ませて席をたった。
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