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青みがかった黒髪を掻き上げ、気絶した野蛮な男たちを壁へと座らせる。
「ふー…。なんでこう俺は絡まれるかなぁ」
ここはサザミルン。輝くほど真っ白な城壁に囲まれたシルクベール城の下に広がる城下町。
そもそも、この世界にはふたつの大陸、グリフィーンとブラウンドがある。
そのグリフィーンで最も栄えて、領土も広いのがこのサザミルンだ。
そして、ここには大陸最強であるギルド"天の宝玉"があることで有名だ。
厳ちい兄さん五人相手に一気に決着をつけた彼は再び歩みを進めようとしていた。
「あ、…あの!」
「ん?」
不意に掛けられた声に彼は振り向くと、そこには髪がくしゃくしゃで顔も黒い煤を掛けられたかのように汚れた一人の女の子が佇んでいた。
女の子は俺と目が合うと顔を伏せてしまい、なかなか声を出そうとしない。
「どうしたんだ?」
優しく声を掛けてやると、やっと顔を上げた。
「あのー…、危ないところを助けていただいて、ありがとうございました…」
危ないところ…?俺たまたまここを通りかかってこいつらに絡まれただけなんだけどな……。
その前にこの女の子が絡まれていて、そこに彼が通りかかり結果的に女の子を助けたことになっていたことに彼は気づいていなかった。
「なんかよくわからんが、どういたしまして」
なぜこの女の子に感謝されているのか知らなかったが、一様そう返しておいた。
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