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木が焼け焦げ、薙倒される。
張り裂けるような絶叫。
逃げ惑う人々。
重く、響き渡る足音。
絶対的な力を持つ生物――龍。その力は計り知れず、人類は駆逐された。
しかし、人類はタダでは起きなかった。
武器を取り、戦う事を決意したのである。
「全員、配置についたな?」
龍を囲むように6人の若者がそれぞれ物陰に隠れる。
それぞれには役割に応じた得物が握られ、顔は緊張に満ちる。
「よし。……目標数は1、それぞれ役割を確認し臨機応変に対応せよ。…………」
全員が息を殺し、地を踏みしめる足に力を入れる。
その気配に気づいたのか龍の動きが止まった。その瞬間を彼らは見逃さなかった。
「戦闘開始!!」
龍に悟られるより早く、1人の若者が懐に潜り込む。
「どうだ、駆逐する対象でしかなかった奴等に命を狙われる気分は!!」
それをサポートするように風の魔法で彼を打ち上げる。
「もう貴様らの好きにはさせない!大人しく……」
それに気づいた龍がその拳で彼を殴りつけようとする。
一方、龍の頭と同じ高さまで飛翔した彼は重力に乗せて剣を降り下ろす。
「くたばりやがれぇぇぇッ!!!!」
「グルゥアァァアァァアァ!!!!」
龍の拳と剣がぶつかり合う。勝つのは人か、それとも龍か。戦いの火蓋は切られた。
抗え人よ。滅せよ龍を。それが我等の生きる道――
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