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「あーいかわらず湿気た面してんな、ハーヴィス」
後ろから彼の肩に腕を掛け、後ろで纏めた髪を揺らしながら顔を覗き混んでくる黒髪の青年。
「‥なんだ、ヴァーズか」
「なんだとはとんだご挨拶だな?」
ヴァーズ‥ヴァーズ・フリアードが肩を竦めながら苦笑する。
「理由なく親友に話かけちゃ駄目かい?」
「今、この瞬間お前に話しかけられた時間が無駄になったから駄目だ。それに、お前と親友になった覚えはない」
「相変わらず、ひっでぇ言い様だなおい!」
ここまで邪険に扱われているにも関わらず、へらへら笑うヴァーズ。そんな彼にハーヴィスはイライラしていた。
――なんでこいつはこんなに楽しそうなんだ?
ヴァーズに会うと必ず思う事だ。
ハーヴィスからみたらただの能天気な馬鹿。しかし、実際ヴァーズは滅龍者としての実力がかなりあり、リーダー兼ムードメイカーのような立場の人物である。
それ故に、元々人を避けているハーヴィスにとって最も苦手としている人種の人物なのだ。
「事実を言ったまでだ。それよりも……肩から手を降ろしてくれないか?正直歩きづらい」
相変わらず冷めた表情でヴァーズの方を見る。
「へいへい。取り敢えず今日の任務、遅れんなよ!」
肩を1回叩いた後、手を振りながらハーヴィスの横を過ぎ去るヴァーズ。
「遅れるかよ」
小さなため息と共にそうハーヴィスは呟いていた。
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