序章――英雄の末裔

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「おっ、遅れないで来たみたいだな!感心感心♪」 任務開始30ミンツ(=30分)前。アリアルフィーネ同盟国家東門の前に座っていたヴァーズの視線の先には、滅龍者の正装に身を包むハーヴィスが居た。 正装とは任務の際に着用を義務づけられている漆黒の軽鎧に赤いマント、そのマントを止める龍に剣がクロスして突き刺さっている絵柄の鋼製のエンブレムがプロテクターとして心臓部分を覆う、動きやすさと防御力を兼ね備えた装備を指す。 アリアルフィーネ同盟国家は、第2次滅龍戦役と呼ばれている今回の戦争にて、世界中の国々が結託して作られた国家である。 滅龍者の本拠地でもあるこの場所はまさに最後の砦と呼ぶに相応しい場所であった。 「俺が遅れるはずがないだろ。それより他の奴等は……」 辺りを見渡すもヴァーズ以外誰もいない。 そんな中、茶髪の2人が後ろから歩いてくる。 1人はにっこりと笑いながら、もう1人は残念そうな顔をしながら。ハーヴィス達に近寄った。 「相変わらず早いですね、ハーヴィス君、ヴァーズ君」 「あぅ‥今度こそ一番乗りだと思ってたのにぃ……」 「早かったな、アミナ、カミナ」 アミナ‥アミナ・ミランテト。カミナ‥カミナ・ミランテト。 彼女たちは双子の姉妹で、ハーヴィス達のパーティーのヒーラーである。 アミナが姉で、カミナが妹だ。 顔がかなり似ているため遠くから来る二人を見分けるのには『アミナはセミロングの方』、『カミナはサイドテールの方』という豆知識を覚えておくことが必要になる。
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