序章――英雄の末裔

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アミナとカミナは先程言った通り、双子であるが、性格は真逆である。 姉のアミナは堅くはないが、真面目で勤勉家。 妹のカミナは自由奔放で、元気の良い努力家。 この2人はハーヴィスの幼なじみであり、ハーヴィスが心を許している数少ない人間である。 「ところで後2人はまだでしょうか?」 キョロキョロと見渡すアミナ。 すると突然どこからか声が聞こえる。 「ボクはもう来てますよ」 「「「うわっ!?」」」 いつの間にかハーヴィスの後ろに立っていた黒髪の青年に驚くヴァーズ、アミナ、カミナ。 「本当に気配消すの好きだな、クルフ」 呆れたように溜め息をつきながらクルフと呼ばれた青年に話しかけるハーヴィス。 クルフ‥クルフ・サレイドル。 ハーヴィス達のパーティーのメイガスである。 眼鏡を掛けていて、暇さえあれば本を読む本の虫。そのためパーティーの知恵袋的存在でもある。 「悪いですか?ボクは余り人と深い関わりを持ちたくないだけなのですが」 読んでいる本を片手で閉じて懐にしまい、綺麗な紫色の目を伏せつつハーヴィスに問い返す。 「いいや、悪くない。任務でも役に立つからな。お前のその無駄なステルス能力は」 そう。気配を消す能力は不意打ちなどを狙いやすいため、任務においてかなりの効果を発揮する。 ハーヴィスは若干皮肉を混ぜて言った訳だが、クルフにとってそれは誉め言葉だったらしく、『ありがとうございます』と返されてしまっていた。
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