序章――英雄の末裔

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「さて、いつものパターンだとバカが派手に登場するはずですが……」 クルフのその台詞にヴァーズが反応する。 「人の弟をバカとか言わねぇでくれるか?いや、確かに大バカ野郎だけどよ」 頬を掻きながら溜め息をつくヴァーズ。 すると、上空から声が聞こえた。 「さっきから人のことをバカバカ言いやがって!しかも兄貴までぇぇぇ!!」 声のした方を向くと、そんな叫びと共に空から黒髪のオールバックをなびかせながら青年が落ちてくる。 その青年は銃を横に2発撃つ。すると、銃口からワイヤーが飛び出し、近くの建物に突き刺さる。 その2本のワイヤーに支えられるような状態になった彼は銃を離すと空中で1回転して綺麗に着地した。 「よ‥っと。カーヴァー・フリアード、ただいま到着しました!」 右の握り拳を、顔側に掌がくるように向け、顔の真正面で静止させ、左腕を腰の高さで背中に回し拳を握る。 滅龍者の敬礼である。 物凄く『決まったぜ……』といった感じの顔になっているが、皆から『バカ』と呼ばれるのには訳がある。 「ところで銃が物凄い勢いで建物に叩き付けられていたが大丈夫なのか、弟よ」 ヴァーズがカーヴァーに呆れたように問いかける。 「へ?あ、あぁぁぁぁぁ!!俺の新作がバラバラにぃぃぃぃぃぃ!?」 そう。大切な所をバカなミスで台無しにするのである。 カーヴァー・フリアード。このパーティーのメカニックである。 ヴァーズの弟で、メカニックとして天才的なまでに功績を残す。ことあるごとに武器を改造もしくは創作してくれる、頼れる技術者。まぁ、新作の大半は先程のようなミスですぐに壊れてしまい、泣きながら修理する羽目にあうが。 そして今まで紹介してきた6人―― 『滅龍の銀狼』ハーヴィス 『魔弾の射手』ヴァーズ 『祝福の女神』アミナ 『奔放な天使』カミナ 『静寂の導師』クルフ 『精密創者』カーヴァー この6人が現滅龍者の最強パーティー、『Dragon Absolute』である。image=457917075.jpg
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