第一章

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井上side 王道転校生が来てから1ヶ月が経ち、今は6月の中旬。梅雨だ。 「雨やまねぇな、佐藤君。」 「そうだね、井上君。」 この脇役全開の会話を脇役全開の友人として居る俺、井上巧は一応主人公です。 脇役全開の友人こと佐藤君はノンケじゃなく立派な生徒会ファン。だけど俺のお友達。顔が平凡だから。 「にしても本田も災難だよね。瀬戸口に絡まれて生徒会ファンの餌食とは。」 「でも佐藤君はなんもしないよな。」 「確かに僕も列記としたゲイで生徒会様のファンだけど、さすがに本田は可哀想過ぎて。」 「俺佐藤君のそゆとこ好きよ。」 「ありがとう。でもごめん僕さすがに井上君は趣味じゃないんだ。」 「ん…ん?何で俺がフられたみたいになってんの?あと『さすがに』っていうのはどういう」 「あ!」 理不尽にフられた事に対する俺の抗議は全く耳に入っていない様子の佐藤君が何かに気付いて声を上げたその瞬間 「「「きゃーーーー!!!」」」 チワワ軍団の叫び声が俺の鼓膜を貫いた。 (痛い痛い、まったく君たちは俺の鼓膜に恨みでもあるのか) 文句はあるが最早慣れたもの。 生徒会様のご登場だ。 「喜べ空。俺様が直々に足を運んでやったぞ。」 そう言って扉を勢いよく開けて登場したのは生徒会会長、青桐総司(あおぎり そうじ)。 お目当ては 「うわ!お前ら教室にはくんなって言っただろ!俺は雄大と話したいんだ!」 もじゃげと便底メガネはどこへやら、金髪碧目の美少年こと瀬戸口空。…と 「ちょ!空いいって俺がどっか行けばいい話だから」 先程まで瀬戸口とお喋りし、生徒会ご登場と共にみるみる顔が青ざめた平凡of平凡の本田雄大。 「いい、お前は俺様達ののパシリだ。」 「いや、でも…」 「俺様がいろって言ってんだ、口答えすんな。」 口調はアレだが要は"お前とも話したいんだよ"という態度の会長。 何を隠そう会長様は瀬戸口だけでなく、当初は嫌いに嫌っていた本田が気になってきているのだ。 会長だけでなく、本田はこの一ヶ月で不良クラスを虜にした。(俺調べ) 噂によると、本田がトップの関哲弥(せき てつや)に手作り料理を食わせた所、気に入られて部屋に押しかけられる様になったとか。 そしてひょんな事から会長も本田の飯を食い、心ごと胃を掴まれたとか。 まさしく従姉妹の姉ちゃんか俺に教えた通りだ。
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