第一章

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最近、妙に会長が俺に優しいのは気のせいだろうか? 俺は今、空に呼び出されて生徒会室に来ている。 「で、でさ空。用ってなに?」 「ああ!雄大、こいつらの前でお前が良い奴だって証明してくれ!」 「……は?」 空曰く、生徒会の人達があまりにも俺の事を悪く言うので、ならば本人に来てもらい証明してもらおう。という事らしい。 (…そりゃ空が言ったからって信じねぇよ。てか信じたくない、か。だからってさぁ、俺呼ばなくても…) 周りの視線が痛い。 副会長、チワワ双子書記、ワンコ会計…それに会、長? (あれ?会長は睨んでない?) 見ている事は見ている。 しかしいつもは突き刺すような目で睨んで来るのに、今日はその鋭さがない。 (…調子でも悪いのか?) 「雄大!聞いてんのか!?」 「え?あ、悪ぃ。でもさ空、証明ったって俺なにすれば」 「バカだな~雄大は!お前が良い奴な所を見せるだけじゃねぇか」 「……」 (それが難しいんだよ!!!) 「もういいじゃありませんか空。貴方には私が居るんですから。」 口を挟んで来たのは副会長の園原青(そのはら せい)。眼鏡が似合う綺麗なイケメンだ。 「俺は青も好きだけど、雄大とも一緒に居たいんだよ!」 「「だいじょぉぶだよソラ?僕たちはこの平凡君も好きだからぁ。一緒に居るのもだぁい歓迎!」」 (じゃあなんで睨んでんのかな?あんたら) とんでもない嘘をついたのは双子書記、桜井禅と苑(さくらい ぜん えん)。 「本当か!?良かったな雄大!」 「あ、あぁ。」 「俺は…だい…嫌い。」 「!!?」 耳元でボソリと囁かれた嫌悪に満ちた一言。会計の龍崎凛(りゅうざき りん)。 「私も、嫌いですね。この屑が。」 いつのまに隣に来たのか副会長も小声で、しかしはっきりと言う。 握り締めた右手に、力が入る。 (俺が…っっ、何をしたよ!?) 胃が、キリキリと痛む バン! 刹那、会長が凄い勢いで立ち上がった。
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