第四章

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井上side 「えぇええぇええ!グッティぇえぇぇぇぇええええ!?」 突然ものすごい形相でこちらに走って来るグッティに思わず素っ頓狂な声が出てしまった。が、ここは生徒会室近くの廊下、大声を出すわけにもいかないので、小声で言っておいた。 「おい井上お前なにしたんだよ、グッティ激おこじゃねぇか」 もちろん焦りを見せたのは俺だけではなく、中島が必死に俺の肩を揺すりながら聞いてきた。 「いやいやなんもしてないなんもしてない!……はず」 「自信ねぇのかよ!」 途端にスパァンと鋭いツッコミがはいった。ようは叩かれた訳だが、ふとその時気が付いた。 (…あら?) 「…あぁもうくそ、なんでこんな時に」 「ちょっと待て中島よ、グッティなんか言ってるっぽいぞ。」 「は?」 俺の言葉に、中島もグッティの方を食い入るように見る。 「『ウニ丼』?グッティ今ウニ丼って言った?」 「は、んな訳ねぇだろ『むしろ』っつったんだよ。」 「いやそっちのが無いでしょ、なにむしろって。何がむしろ。」 「あぁじゃああれだ『うしろ』」 「?後ろ……?」 その言葉の通り、ゆっくりと後ろを振り向く俺と中島。すると丁度、ある部屋の扉が開き始めたところだった。 「………な、なな中島さん、つかぬ事をお聞きしますが、あ、ああああの部屋って」 「………生徒会室、だな。」 あ、オワタ(吐血)という文字と共に、走馬灯が頭の中を駆け巡りかけたその刹那 「さっきからそう言ってんだろ」 耳元でそう聞こえたかと思ったら、服の襟首をとんでもない力が引っ張った。 「うぐっ」 「ぐえっ」 その力のなすがままに、俺と中島はそばにあった扉に引き込まれた。
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