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コツコツと、ドアの向こうで誰かの歩く音が近づき、そして離れて行った。それを確信した途端、三人合わせて息をついた。
「…今のは焦ったわ~」
「グッティないす。超ないす。」
「ないすじゃねぇよ、お前らメールちゃんと見やがれ。」
メール?と、グッティの発言に俺と中島は仲良くハモった。
「原田から来てんだろ。おら。」
そう言ってグッティはiPhoneのメールの画面を見せてきた。俺はそれに顔を近づけて目を凝らす。
「えーっと、『生徒会室に副会長がいるみたい、気をつけて。』あっはほんとだ。」
「原田あいつ大丈夫って言ってたくせに。」
「原田君もてきとうだなぁ。」
「てめぇが言うな。」
「っでっ!」
いきなり目の前のiPhoneでデコを直撃され、言葉にならない痛みが俺を襲った。
床を転がり痛みに悶える。
「…っ~…グッティいきなりなに」
「俺が来てなかったらお前ら今ごろ副会長かあのバ会長に見つかってんだぞ。」
「いや確かにそれはありがたいと思ってるけど何もデコ直撃することな」
がっ
「っ!?」
「おい、グッティ!?」
言葉の途中でグッティに胸ぐらを掴まれた。危うく舌を噛むところだったと文句を言おうとしたが呑み込んだ。
グッティの目が、本気で怒っていらっしゃったから。
「見つかってたらまた怪我するところだったんだぞっ…約束、早速破ってんじゃねぇよ…」
(あ…)
ヒリヒリするデコを右手で押さえながら、だんだん俯いて行くグッティを眺める。その姿に、少し反省の気持ちが出てきた。
(…なんか、悪いことしちゃったn)
「いい度胸してるじゃねぇか、あ゛!?」
「え……っていだだだだだっ!」
さっきまでの優しさはどこへやら、こめかみをグーでグリグリと痛めつけてきた。
「朝約束したばっかだよな?ちょっと早過ぎんじゃねぇの。」
「でっあばっちょグッテごめんごめんなさい!!以後気をつけます!!!」
「あ゛?聞こえねぇなぁ?」
「っ怪我しないように今後気をつけます!!!」
最初からそうしろ。と、言い捨て、グッティは俺のこめかみから手を離した。
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