第一章

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「さぁてさて、何食おっかなぁ?」 食券機の前で盛大に悩む俺 「井上、なんで今日こんなに人少ねえんだ?」 を無視して問いかける中島 「あれ?中島知らない?今日各親衛隊の集会が被ってんの。だから大半が弁当持参でどっかの教室で集会しながら食ってんよ。」 「なるほどな。だからお前1人だったんか。てかさっさと決めろ。」 「あ?説明してやったのに…中島、本田への愛を少しは俺にくれ。」 「無理。」 「ですよね」 (幼馴染と出会って数ヶ月の差は埋められねぇよな) 「だから、」 「ん?」 まさか続きがあるとは思わなかった俺は、驚き中島に目を向ける 「だから、お前はお前で愛してやんよ。」 冗談めかして言う中島に、本日二度目にときめいてしまった。 「…っっ!俺も愛してる!」 がばと抱きつこうとしたら顔を右手で抑えて止められた。 「な、なんで…」 「これも俺の愛だ。ありがたく受け取れ。そしてさっさと決めろ。」 「…はーい」 結局俺は中華丼を頼んだ。 二人の食事ができ、さぁ食べようと適当なテーブルについた時 「ちょ!下ろせって総司!」 聞き慣れた馬鹿の声がした。 「ふ、照れてんのも可愛いな。」 そりゃ男に姫抱っこなんてされたらな…末代までの恥だろ。 「て、照れてねぇ!それに俺は可愛くねぇ!」 「総司、そろそろ空を解放して下さい。心底嫌がってるじゃないですか。」 「「そぉだそぉだ!!」」 「空…こっち」 瀬戸口、会長に続いて生徒会メンバーがぞろぞろと出て来た。 (今日、集会被ってて良かったぁ!!) 親衛隊やファンの奴らが居たら叫び声で飯なんて食えたもんじゃない。 (あ…) そこでふと気づく 「なぁ、中島。あの馬鹿が居るって事は本田も来るかな?」 「さぁ知らね。」 お前の愛はどこへ行った、と言おうとしたその時 「何してんだよ雄大。ほら、こっち来いよ!!」
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