第一章

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「な、んで…」 「遅くなって悪かったなぁ。ちょっと停学くらっちまって。」 けらけらと笑う相手に少し苛立つ 「なんで止めたんですか!?」 「殴るとな、自分も痛ぇんだよ。特にお前みたいな奴は。」 「お、れ?」 「お前みたいな優しい奴。よく頑張ったな。」 「…っ!うっぅあ」 にへらと笑う関さんの笑顔に、思わず目頭が熱くなるのを感じる。 「泣くな泣くな、男だろ?」 そう言って頭をくしゃと撫でて来る 「な、泣いでねぇです…ずずっ」 それが、さらに涙に拍車をかける。 「よしよし、後でティッシュやるからな。てことで、こいつ貰ってくわ。」 「ちょっと!!お前ソラ殴ろうとしたんだから誤りなよ!!」 「そぉだ謝れ!!ソラがこんなに泣きそうになってんだぞ!!」 「あぁ!!?…きゃんきゃんうるせぇなぁ?じゃあなにか?!てめぇらはこいつを傷つけたことに対して一度でも謝ったか?!あ?!」 「「!?」」 突然態度が豹変した関さんに、双子はたじろいだ 「それは、本田君が空から離れなかったからです。自業自得」 「はっ!お前ら本当に目ぇ見えてんのか脳味噌機能してんのかよ?こいつがその糞から離れなかったんじゃねぇそいつがこいつから離れなかったんだろ。」 「は?何を言って」 「はぁ…もういい、お前らと話しても拉致があかねぇ。行くぞ雄大。」 「ちょ、話は終わっ」 「待て!!」 副会長の言葉を遮ったのは 「会、長?」 「そいつは俺様のパシリだ、勝手に連れてくのはゆるさねぇ。」 「は?こいつよりも使いやすいのがそこら中に居るじゃねぇか。」 「黙れ!いいからそいつは置いて行け!」 「…なに?なんでそこまでこだわんの?まさか天下の会長様がこんな平凡に惚れてるわけでも無し」 途端、その場の全員が絶句した 「…はっ!あら図星?」 会長の顔が、茹でダコになったのだ。 「!!!///っっ!帰る!」 居た堪れなくなったのか早足で歩き出す会長 「ちょっと総司!待ちなさいどういう事ですか!」 「「会長趣味わっる!!」」 を追う副会長と双子 「空…俺、たち…も、行こ」 空は、まだ泣きそうか顔をしている 「空…殴ろうとして悪かった。ごめん」 「!!…ゆ、雄大!おれ、俺気付かなくて」 「さよなら。今までありがとな。」 俺は、関さんと共に会長達とは逆側に歩き始めた。 後悔はしていない。けど、空の泣きそうな顔が、胸を締め付けた。
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