第1章

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春の陽射しがカーテンの隙間から覗いている。 暖かい陽気に包まれているようで気持ちいいはずなのになぜか気分は最悪だった。 体がやけに重い気がする。 それに・・・頭も痛い。 「・・・どうしよう。もしかして・・・風邪ひいたかも」 いたたた、と頭を押さえながらゆっくりと起き上がろうとするが思うように力が入らず、再び布団に寝転がる。 (こんなとき・・・母親がいてくれたらな) そんな馬鹿みたいなことを思い、1人自嘲気味に笑う。 ほんの1ヶ月前の出来事なのに鮮明に頭の中に甦ってくる記憶に、蓋をしめるようにまた目を閉じた。 「大人なんて・・・嫌いだ」
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