第一章

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アース社内は重苦しい空気が立ち込めていた。 「ねぇ、これどうします?」  サムライのラクサスが厳かに尋ねる。 「十中八九罠でしょうね」  同じくサムライの蓮が答えた。十人近くの社員が顔を見合わしながら、社長のフェアリー囲み発言を待った。美女で理知的な称えるこの社長は、社員にも信頼は厚かった。年齢は不詳であるが。 「あなた達の総意に任せるわ。私としてはなるべき危険なマネをさせたくないけど」  フェアリーの言葉に社員達は考え込む。 「私としては、ここで奴らとの腐れ縁を叩き斬っておきたいところだが」  スカウトの男ジェームズは発言する、変人の問題児の発言だがみな考える。 「オレはいかなくていいと思う、オレ達がいかなきゃあいつら待ちぼうけだろ」  と同じく問題児のルロイが答えた。 「おはよう!」  その空気を切り裂くようにアーキスは現れた。 「ん、どうしたんだ?」  いつもと違う様子にアーキスは質問した。 「アーキス、実は――」  と、忍者の月麗は口を開いた。可愛らしい顔つきをして優しい心を持っていた、しかし男であった。非常に残念なキャラクターである。 「うぎゃあああああっっっ!」  突如、社内に叫び声が響いた。 「どうした!?」  声の主はアースの新入社員の田中の声とわかった。アースに勤める前はブラック企業に勤めていた。その苦労が頭にと、可哀相な男だ。アーキスと同じくヒーローで変身により企業戦士サラリーマンにと変身する。  アーキスと社員達は声の聞こえたシャワー室の洗面台の前に駆け寄る。 「うあああ……」  洗面台の前には、拳を掲げてうずくまる田中の姿があった。 「何があった!?」  声をかけるアーキスに田中は弱弱しく答える。 「イザベラとライザが……」 「誰だそれ?」  田中の拳を見やる――抜けた髪が二本握られていた。 「髪の毛一本一本に名前つけてんじゃね~よ」  一同はやれやれとシャワー室を後にした。
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