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遠い…
--『ようこそ日鞠(ひまり)。今日からここが君の家だよ』--
私はご主人(久)様の手に包まれながら、一枚一枚丁寧に剥がされていく。
顔が出た瞬間、眩しい光に思わず目を閉じそうになりながら、私は黙って視線を動かさずにいる。
『くそっ、アイツ!適当なサイズ書きやがって…入らねえじゃねえかゴルアァ。せっかくスペース作って待ってたのに…』
久様は私を立たせたものの高さが合わなかったのか、腹立たしげに“チッ”と舌打ちしてから、手の中の私を優しく見下ろし
『ごめんね…ヒマたんの場所ちゃんと作るからね。俺、これから大学だから今はこっちにいてね。あのクソバカ野郎の評価は“悪い”決定!』
久様はそっと私を立たせると、私を見つめ嬉しそうに頭を撫でてから出て行かれた。
(あっ…向こうにいっぱい私やヒヨがいる。メンバーのみんなも。そっか…私はあっちにいくんだ)
部屋の反対側に、上から3段だけ1段1段アクリルのお手製の扉をつけた棚が見える。
(久様がつけられたのかな?)
中は私達が可愛く見えるよう巧くディスプレイされており、密閉しこまめに掃除もしているらしく、扉はクリアで中は埃すら落ちておらず綺麗に見えている。
私も嬉しくなって姉の日和(ひより)達に手を振ろうと、固まっていた体を動かし手を上げようとした。
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