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ほっと息をつく私。
ん?
私は怯える必要ない……よね?
後々になってから、木下さんの不正アクセスを知ってしまった以上は私も同罪かもと思い直す。
木下さんは、というと気配の消えた扉を見つめていた。
というよりも睨んでいたが正しいかもしれない。
声を掛けるにも掛けにくい状況に沈黙も続く。
「……帰ろ」
彼女はそれだけ言うと片付けられた机の上に愛用のノートパソコンを置いて出てしまう。
私も慌てて追い掛ける。
「今日の木下さん……何か変」
ピー
思わず呟くけどそれは鍵が掛かった音でかき消された。
彼女の跡を追い、図書室本部へ入るとどこかで見掛けたような男性が椅子に座っている。
前髪が長い黒髪で隠れ、黒く太いフレームの眼鏡を掛けた男性。
きっちりとした姿勢で椅子に座り、机の上で手を組みこちらを見ていた。
「下校時刻を守りましょう。司書の方にも迷惑となりますよ」
意外にもよく透る静かな声。
「神咲紅雅……」
「年上を呼び捨てしてはいけませんよ?木下実さん」
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