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コンコンコンコン
ノックの音が響く。
学年一の成績を持つ彼女だけれど、それと同時に『学校一恐ろしい人』とも言われている木下さん。
尋ねに来る人は不良グループ程度しかいなくて、増してそんな人達が丁寧なノックなんかする筈もない。
私と木下さんは眉をしかめて目を合わせた。
そして私達は再びノックをされる扉へ目を向け身構える。
木下さんは鋭い視線を向けたまま、手慣れた様子で音もなく機具をしまい始める。
私は正直、よく状況を理解していないのもあって扉との距離をとってみた。
コンコンコンコン
三度目のノック。
鍵は掛けてあるからこのままやり過ごせるかもしれない。
―――さっきまでの話し声が外へ漏れていなければ。
「開けて下さい」
それは静かな男の人の声だった。
その声が聞こえると言うことは、さっきの私達の声も相手に聞こえているということである。
問いに答えず佇む私達。
「わかりました。言いたいことは下校時刻ですから速やかに帰宅しなさいとのことです。では」
去って行く足音。
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