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キーンコーンカーンコーン……
クローバーの栞を挟み、そっと閉じる。
辞書より少し薄い厚さのこの本は図書室に入荷されたばかりで、新書独特の香りはワクワクした気分にさせてくれる。
窓からは爽やかな風が吹き、私の髪をすり抜けていく。
黒板の横にある時間割を見ると、一時限目は日本史と記載。
……あの教師、一々面倒なんだよね
そんなことを考えてぼーっとしていると、不意に風が止んだ。
ふと隣の席の男子が自分の席に座るのが目に入る。
様子からして風が鬱陶しかったらしい。
名前、名前……。なんだっけ?
興味ない人の名前なんて、とてもじゃないが覚えられない。
名前を思い出す為にじっと見つめてみるけど、思い出せないものは思い出せない。
そもそも名前を覚えて呼んでみた記憶すら危うい。
諦めて視線を外すと、周りの人達は喋りながらも着席していた。
数十秒後。
除々にこの教室に向かってくる足音を、ざわめきの中から聞き取ってしまった私は本をしまい教科書を広げ、閉められた窓に視線を止めた。
そこには銀の細いフレームの眼鏡をかけ、漆黒の髪色をした長髪ストレートの私が映っていた。
ついでににっこりと微笑んでみる。
うん。今日も問題なし
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