HR

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ガラッ タイミングよく入って来た日本史の教師は、若い割にポチャッとした体形で東北訛りな弁解の多い教師。 少なくとも私はそう認識している。 自分が漢字が苦手だからと言って、黒板を平仮名ばかりにされるこちらの身にもなって欲しい。 始めの頃は切実にそう思っていてけど、今では板書はしていないので気にしない。 と言うのも、あの教師の発言したことを全てノートに記入しているから何の問題もないのだ。 むしろ、皆より評価が良かったりする。 何でだろう? 「―――わ」 暇になった私は試験用ノートを眺める。 でもそこには何も書かれてはなく、真っ白なまま。 「―――黒澤!大丈夫か?具合でも悪いんか?悪いんなら今すぐ保健室に「お気になさらず」 必殺、スマイルを発動してみた。 実際は必殺でも何でもなくてただ微笑んだだけだけど、大体の奴はこれで言うことを聞く。 人って単純なのかもしれない。 「そ、そうか?気分が悪くなったら無理せず言えや?」 「わかりました」 「じゃ、教科書27頁を開けー。ロッカーに入れたままの奴はさっさと取りに―――」 やっぱり便利。 皆もすればいいのに。
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