HR

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周りを見回すと休み時間だと言うのに、爆睡している人が大半を占めている。 携帯ガーム機で対戦している人が数名、お喋りに花を咲かせている人が数名。 私はそのどれにも所属せずに、それらを傍観している他の部類。 人付き合いで仲を深めるなんて、そんな面倒なことをわざわざ自分からする意味もわからないし、こんな固い所では眠る気にならない。 それに寝顔を晒すなんてありえない。 最後の授業はLHR。 始まりを告げるチャイムが鳴ると同時に担任が入って来た。 童顔?にしては残念過ぎる顔立ちで背ばかり高く、意外と頭はいい担任。 Yシャツの上にジャージを着るというナンセンスな持ち主だけど、今日はいつもよりマシな格好かな。 興味ない私は、騒ぎ始めた女子達等気にせずに窓の奥に広がるグランドを見る。 「黒澤さーん?呼んでるよー?」 「……私?」 前に座っている子に促され教壇に視線を向けると、担任の他に見知らぬ男性が立っている。 この時期に教育実習生? 「中央委員長の黒澤優奈さんだ。困ったら彼女に聞くといい」 その言葉に若干慌てて立ちあがる。 「……はい」 「暗~っ。何か全体的に暗いよねー」 「ってか地味にも程があるでしょ」 クラスの女子が騒いでいる理由はその男性にあった。
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