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私と同じ黒髪で、顔は前髪で隠れている。
その上、黒く太いフレームの眼鏡が彼の魅力をより一層下げさせていた。
身長は高く担任と同じくらいで、二人並ぶと担任の魅力が引き立ってしまう程。
「彼女いますかー?ってかいる訳ないかー」
「キャハハッ!まさかの童貞ですかぁ?」
「お前等、神咲先生に変なこと聞くな」
神咲自身は無言だったけど、女子はヒートアップし男子も加わって賑やかになる。
ずっと立っていても意味はなさそうだから、席に座る。
印象が強いと名前って案外すんなりと覚えられるものだと、最近気づけた気がする。
この場合、悪印象だけど……。
罵倒される神咲を庇うように注意し続ける担任。
からかい続ける女生徒。
遠目で見ている分にはいいけど、アレらには混ざりたくはない。
未だに神咲は無言のままで、感情が無いみたいに無表情。
って言っても口元しかわからないから本当のことはわからないけど。
そして六時限目は担任そっちのけで幕を閉じた。
帰りのHRはなく、無駄に近寄ってくる男子を軽く受け流して荷物を纏める。
「優奈ちゃん、バイバーイ」
「さようなら」
「またねー」
「はい、また明日」
「俺と付き合って―?」
「職員室でしたら会議中だと思いますが」
「そーじゃなくて……」
これが普段の帰りのやり取り。
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