HR

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教室へ出ようと一歩外へ踏み出すと、凄まじいテンションで走って来る女生徒が一人。 衝突は痛そうなので左へ避けると、彼女は勢い余って教卓へ突っ込む羽目に。 「木下さん?……大丈夫でしょうか?」 栗色のふんわりとした短髪の彼女、木下 実(キノシタ ミノリ)は一年前の入学式の時、私の前にいた元気な女の子。 とても頭がよくて運動神経も抜群な彼女は勿論、成績も優秀で学年トップの実力者。 外見も小さくて可愛らしいけど――― 「いったぁ……。優奈?どうして?どうしてアタシの愛の抱擁を避けるのさ!?ってそんな場合じゃなくて!早く来て!!!」 「ちょっ「オラオラオラ!!!テメェらさっさとどかねぇと麗しの優奈姫に嫌われんぞ!!!」 結構強引で、ご両親が元ヤンか何かだかで口が悪かったりする。 今日も理由を話してくれる前に連れて行かれちゃうのかな? ううん。 もう連れられちゃってるから無理だね。 辿り着いたのは今は彼女しか立ち入らない図書室で、司書室の更に奥にある、第二準備室。 古びた扉を開けると、そこにはこの前と全く変わらない光景が広がる。 積み上げられた大量の本に大型スキャンやモニター三台、デスク用のパソコンにノートパソコン二台が置いてあった。 研究室みたいな部屋なのは変わっていない。 こんなに沢山の機械、必要とは思えないけどなぁ。
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